新型乾電池

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 新型乾電池

投稿日:2004年03月18日 12:20

 デジタルカメラや携帯電話などを使っていていつも気になるのは電池切れですが、そんな不安に答えるように寿命の長い乾電池など、高性能な製品の開発が相次いできました。

 乾電池2個を搭載した自動車が人を乗せて走りだすコマーシャルを見たことがあると思いますが、ここで使われているのが松下電池工業が開発したオキシライド電池と呼ばれるものです。

 このオキシライド電池と名付けられた新型乾電池は、電圧が1.7ボルトと従来の電池より0.2ボルト高く、寿命もアルカリ電池の約1.5倍に達します。モーターなどを力強く回転させられますので、デジカメに使えば撮影枚数は約2倍に増えます。

 性能アップの秘密は、高い電圧を生み出す化学反応を起こせる新しい材料を採用したことにあります。乾電池を輪切りにすると中心の負極部分を取り巻くように、正極の材料が充填してあります。新型乾電池は従来のマンガン型の材料に加え、オキシ水酸化ニッケルと呼ばれる粒子を詰めています。

 このニッケル系の物質は約10年前から乾電池用の有望な材料として注目されていましたが、反応を安定させるのが難しく実用化には試行錯誤が続いていました。ニッケル系粒子同士のすき間を埋めるように混ぜる黒鉛の粒を従来よりも小さくすることなどの工夫で、こうした問題が克服されました。
乾電池の「燃料」に相当するニッケル系粒子を多量に充填できるようになり、乾電池の寿命を大幅に延ばすことができました。

 乾電池は18世紀末のボルタ電池以来、基本的な仕組みは変わっていませんが、乾電池内の化学反応を効率化したり、2次電池にたくさんの電気をためる工夫が進み、これまでに一次電池、二次電池合わせて、述べ10タイプの乾電池が登場しています。オキシライド電池は歴史上11番目のタイプとなり、乾電池としては1950年代のアルカリ電池以来約40年ぶりの新顔になります。

 一方、充電して使う二次電池の代表格で携帯電話やノートパソコンに使われているリチウムイオン電池にも技術革新の波が押し寄せています。リチウム電池は電圧が3.7ボルトと高く放電時間もトップクラスですが、イオンの流れを伝える部分に、現在は電解液と呼ばれる有機溶媒を使っており、液漏れの可能性が難点になっています。

 電解液の替わりに高分子の個体材料を使ったポリマー型電池の開発が進められています。現在のリチウムイオン電池は液漏れなどのトラブルに備えて特殊な回路や素子を内蔵していますが、これらが不要になるため衝撃にも強くなります。

 技術革新が続く乾電池ですが、燃料電池などライバルの技術も熱心に研究されていて、将来は大気の温度変化や音声の微少な振動から電気を取り出すという全く新しい方法も研究されています。



https://www.lifestyle.co.jp/2004/03/post_98.html
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