伝統芸能を楽しむつどい

ライフスタイル総合研究所



 伝統芸能を楽しむつどい

投稿日:2005年11月16日 13:39

  昭和58年に交通事故で2ヶ月入院しました。其の時から自分の人生が大きく変わったと思います。大阪万博の昭和45年に師匠と別れ一人立ちをしましたが、その頃から普通の舞踊家ではいてられなかったようです。

 日本は縦割りの世界で、特に芸能界は厳しいものがあります、絶対的でしょう。家元はともかく天皇の世界ですから、現在のように緩やかなものではありません。そんな中で私は異端児でした。15歳より師匠という肩書きを頂き、生意気な人生であったと思います。

 18歳の時にこれからの舞踊家は舞台を持ってないと、一人前の舞踊家になれないと言って、父は新しい家に檜の舞台を作ってくれました。昭和35年頃ですから檜の舞台を持っている師匠は京都には少なかったと思います。よく映画やテレビに檜の舞台が出ました。そして、20名位のお弟子さんが稽古に見えてました、また女優さんや俳優さんにも稽古をつけていました。

 30歳で思わぬ壁にぶつかり悩んだ末そこから抜け出したのが、横のつながりを持つことでした。自分達の世界だけに留まらず、一般の方々に芸能を身近に親しんで頂く機会が欲しいと思いました。舞踊にこだわらずあらゆる芸能を皆さんと一緒になって勉強したいという気持ちが強かったのでしょう。
2ヶ月に一度芸人さんに来て頂き芸能を楽しみ、後で芸を語り合い、皆で一杯、またこれが楽しみの方もあり、段々会員の人数が増えてまいりました。不思議だったのは会員さんはいろんな職業の方が見えていました。文化系は勿論ですが、企業家や大学の教授、僧侶など京都らしい会合です。

 そしてこの会の素晴らしいところは皆、肩書きを捨てて見えるところが永く続いている所以だと存じます。これこそ文化のつどいの好いところですね。
その内段々と欲が出てきて、自分達だけで楽しむのでは勿体無いと一般の方達にも観ていただこうという事になりました。京都文化芸術会館で開催しました第1回の公演「鳥獣戯画」、続いて大阪の国立文楽劇場で2回・彦根博物館・造形大学春秋座・金剛能楽堂・渋谷セルリアンタワー能楽堂で2回と公演を続けています。2・3年に一度は大きい場所でと言うことになり、設営は大変ですが、皆さんの応援と励ましを頂きながら続けてまいりました。

 私の夢は2つあります。1つは日本の伝統的な芸能が小・中学校などで、生徒さんに見てもらう機会が出来れば良いと思っていること。勿論教育に入ればもっと素晴らしいと思います。芸事はちょっと、でも身体の柔らかい小供のころから始めた方が良いのです。もう1つは日本の芸能が国際的に、世界の水準に達し、単なる娯楽としてだけでは無く、外国のように芸術として見られるように、また国が守ってくださるようなプロの芸能家が育つ環境が出来れば素晴らしいことだと思います。それには専門的な教育の場を設け、プロになりたい人はあるところから専門コースを選び、その方向の専門分野を学ぶようにする。そんな専門学校があれば良いのに、という願いをずーと持っていました。

 芸術家はまず自分の心が豊かでなければいけない。また人にもその心が伝わることが大切で、これが私達芸能家の精進するべくところだと言えます。
また、伝統芸能といえども昔から同じ型がそのまま伝わっているのではありません。その時代の背景や空気・色・匂いなどいつも同じではなく、その時代の良いものが加わりそして伝わっていくわけです。

 常に心がけているのは「伝統と創生」・「美と用」は共になければいけないということです。例えば、染色作家さんの着物で言いますと、美術作品としての美の鑑賞に留まるだけではなく、用としての着物であることも大切なことです。そして日本の芸能はやはり日本人が一番似合っています。まず身体の線や骨格が合っています。日本人が外国のものを真似ることは出来ても、あくまでもそれは真似にすぎないと思います。ということは日本人は日本の芸能をやるのが一番良いのです。

 芸能の歴史を紐解いて見ますといろんな文化がシルクロードや中国から来ています。西安の文化庁の偉い方が言われていましたが、日本の方は外国から伝わったものでも日本流に器用に自分の物にすることが上手だとおっしゃっていました。そしてとても繊細なことを褒めてられています。中国の方は日本の雅楽を聴いて中国から伝わったものだとは思われ無かったそうです。

 21世紀に入ると国際交流は益々盛んになり、情報網によりどんな国のこともすぐに把握できるわけですから、夫々の国の文化はすぐに読み取れます。

 自国の文化を大切に出来ない国は、滅びるかも知れないと最近思っています。

         NPO法人 檜の会
                安田 紀美子(花柳 双喜美)



http://www.lifestyle.co.jp/2005/11/post_46.html
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