石炭ガス化複合発電

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 石炭ガス化複合発電

投稿日:2007年02月21日 09:31

 石炭は炭素のほか水素、酸素、微量の重金属を含んでいます。また、石油や天然ガスに比べると炭素の含有量が多く、燃やしたときにCO2(二酸化炭素)の排出量が多くなるため、地球温暖化問題が協議され始めてからは悪者扱いされてきました。

 しかし、近年の原油高時代をむかえ、エネルギーの安定供給を考えると利用しないのは得策ではないとの考えから、石炭をクリーンに変身させて使おうという動きが出てきました。

 現在の石炭火力発電は、ボイラー内で石炭を燃焼させた熱で蒸気を発生させ、その蒸気の力によって蒸気タービンを回転させて発電しています。この場合、燃料の石炭の持つエネルギーを100%とした場合、電気エネルギーとしては約40%が活用出来ます。

 石炭は燃やすと温暖化ガスであるCO2を石油の1.3倍、天然ガスの1.7倍も排出します。大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)は石油の1.4倍、天然ガスの2.5倍。硫化酸化物(SOx)も石油の1.4倍排出します。しかし、採出可能な埋蔵量は200年以上で石油の5倍、天然ガス、ウランの3倍以上といわれています。中東地域に集中する石油に比べて世界各地で産出することができます。

 石炭ガス化複合発電は、石炭を石油火力よりも効率的に使って、排出ガスを低く抑えるのが狙いです。排出ガス低減の秘密は、石炭を高温高圧のガス化炉で可燃性ガスに転換し、ガスタービンと蒸気タービンの2種類を回すコンバインドサイクル発電にあります。発電効率は既存の石炭火力よりも10ポイント高い約50%に向上します。通常、この発電方法は、気体の天然ガスにしか使えませんが、石炭をガスに変換することで可能になりました。

 石炭を微粉砕し、ガス化炉で30気圧の空気を吹き付けます。摂氏1200度以上にして溶融分解すると、CO(一酸化炭素)やH2(水素)が発生し、このガスをガスタービンで燃やして発電します。石炭中の灰分はガス化炉内では高温のため完全に溶融してスラグとして排出されます。

 次に排熱を回収して水を温め蒸気をつくって蒸気タービンを回します。2種類のタービンを回すことで、熱エネルギーをより効率よく電気に変えることが出来ます。同じ電気量の発電に必要な石炭の量も20%以上少なく出来るだけでなく、排出するCO2は石油火力よりも低く、最終処分に困る燃えかすの灰の量も半減します。

 石炭の価格は得られるエネルギーで比較すると石油の20%以下で入手出来ます。エネルギーの主役が石油に代わってからは、環境汚染のイメージがつきまとってきました。今後の研究開発で安価な低品質の石炭も効率よくクリーンに燃焼できる技術が確立していけば、エネルギー源の主役に再び復活する可能性が出てきました。



https://www.lifestyle.co.jp/2007/02/post_185.html
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