バイオマス燃料

ライフスタイル総合研究所



 バイオマス燃料

投稿日:2007年04月16日 09:35

 近年、自動車向けのトウモロコシなど穀物を利用したバイオエタノールへの取り組みだけでなく、バイオマスを原料にした燃料へのプロジェクトが全国的に増えています。

 バイオマスとは、家畜の糞や生ゴミ、木くず、農作物など、生物資源のことを指します。プロジェクトが増えた背景には、原油価格の高騰の影響もありますが、企業が地球温暖化対策として取り組み始めたのと地方自治体が町おこしを兼ねて取り組み始めたことがあげられます。

 地球温暖化問題では、自動車や火力発電所、工場などからの二酸化炭素(CO2)の排出量が増えていることに起因しますが、光合成でCO2を摂取して成長する植物などは、燃やしても大気中のCO2量は増えないと定義されています。従って、エネルギーをバイオ燃料に置き換えると、その分のCO2は減る計算になります。

 取り組んでいる企業として、北越製紙の関東工場では、一日に近隣の企業から約520トン、トラック50台分に相当する木くずを集めて約4万??を発電して工場全体の電力を賄い、余った分は電力会社に売っています。キリンビールでは、全国に6カ所あるビール工場の排水に溶け込んだ大麦のカスなどからメタンガスを発生させて電力に利用しています。松下電器産業でも、滋賀県内7つの事業所の社員食堂で使用した食用油と近隣企業から集めた廃食用油の年間約3万2千?でバイオ燃料を造り、配送車の燃料に利用しています。

 自治体の秋田県小坂町では、生ゴミから肥料を作るだけでなく、バイオ燃料のもとになる菜種の栽培を始めました。菜種栽培で農家にも活気がもどり、町おこしにつながるよう菜種油の工場建設も計画中です。岩手県北部の葛巻町では、新エネルギー町宣言と共に風力発電や、学校の校庭に太陽光電池パ
ネルを設置しています。

 又、2003年度に牛糞から発電する設備を牛舎内に設け、肥料工場の電力を賄っています。こういった取組により、視察団、観光客が年間46万人と6年前の2倍になり、地元で作るワインの売り上げ増に貢献して、町おこしにつながっています。

 農林水産省のバイオマスタウンを始め、燃料や有機肥料生成などバイオマスのプロジェクトは申請して審査に通れば補助金がもらえます。又、経済産業省や環境省でも補助金を出していて、葛巻町では2002年度に約1.1億円、小坂町では2006年度に約3億円の交付を受けています。

 政府のバイオマス関連への補助金は2007年度予算案に8千7百億円と前年度に比べて2%増える見通しです。公共工事が大幅に減少する中、自治体には魅力的な補助金になっています。今後も取り組む自治体は増えそうですが、補助金の内容は外部ではわかりにくい点もあります。お金は出したのに成果
が上がらないでは困りますから、費用対効果には十分な目配りが必要です。



https://www.lifestyle.co.jp/2007/04/post_195.html
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