仮想空間「セカンドライフ」

ライフスタイル総合研究所



 仮想空間「セカンドライフ」

投稿日:2007年05月01日 13:04

 多種多様な店舗、大学、美術館、リゾート施設、カジノや宇宙センターなどが並ぶ巨大仮想空間「セカンドライフ」(Second Life)の日本語版サービスは、世界の390万人以上が住民登録しているセカンドライフの日本上陸とあって、広告会社やIT(情報技術)各社が、仮想世界での企業支援ビジネスに乗り出すなど、動きがあわただしくなってきました。

 セカンドライフの世界には、インターネットにつながったパソコンから入り、住民登録をした後に専用ソフトをダウンロードして、自分のアバター(分身)を創ります。名前や姿を決めれば、その中の街を自由に歩くことができます。街には様々なアバターが歩き回り、互いに会話をすることができます。公用語は英語ですが、4月以降は日本語での会話が一部を除き可能になります。今後、日本語による操作手順の説明なども充実する予定です。

 これまでもネット上の仮想空間サイトはありましたが、セカンドライフには2つの大きな特徴があります。一つは、自分で様々な物を創ることができます。楽器、家具、衣料、雑貨、慣れてくれば建物や車まで、用意された制作ツールを活用して形に仕上げることができます。しかも、その著作権は創った人のものになります。

 もう一つは、「リンデンドル」と呼ばれる仮想通貨が流通し、それを実際の米ドルに換金できることです。つまり、自分で創った服や家が売れれば、最終的には現金収入を得ることができるのです。昨年、不動産売買で日本円にして1億円近く稼いだ例もあります。レートは日々変化していますが、物価はかなり安いようです。それでも現在、約15億リンデンドル以上が仮想世界の中で流通しています。

 セカンドライフは2003年、米国ベンチャーのリンデンラボが立ち上げました。主な収入源は、土地の販売とその管理です。6万5000平方メートルの土地に相当する島を、1675ドル(約20万円)で売っています。これがサーバー1台分に当たり、月額295ドル(約3万5000円)で管理します。購入者は島の土地を区画整理し、住宅付きで分譲して販売することができます。

 米国では、大企業が次々と仮想の土地を手に入れ始めています。米国トヨタは、そこに試乗できる自動車ショールームを開設しています。日産自動車は、大きな車の自動販売機を設置しました。通信社のロイターは支局を創ってニュースを配信しています。さらに60以上の大学が分校を運営しています。

 国内企業の関心も高まってきました。電通は、アニメなどのクリエーター養成学校を運営するデジタルハリウッドと組み、企業や団体の参入を支援するための研究会を設立します。複数企業の参加を募ってセミナーなどを開催する予定です。また、仮想の共同研究所を設け、セカンドライフの中でも企業のサポートを行います。

 賃貸マンションのツカサグループは、静岡県伊東市に2009年(早ければ、今年夏にも)着工する予定の永住型テーマパーク「伊豆昭和30年代村」のバーチャル版の建設を準備中です。ゆったりした生活を求める団塊世代1500人以上の会員を集める計画ですが、その暮らしを先行して疑似体験してもらう試みです。また、古本販売のブックオフコーポレーションは店舗を設置して、当面は企業PRが主な狙いですが、将来の電子書籍販売などに備えています。

 ただ、著作権などの法的問題、急速にユーザーが増加した場合のトラブル、日本人にとっては英語でのコミュニケーションが苦手などの課題もあるようです。セカンドライフの日本人ユーザーは、まだ2万人未満ですが、日本語版の登場で、日本からの参加者が一気に増えるかどうか、400万人近い仮想社会の住民と共に見守ることになりそうです。



https://www.lifestyle.co.jp/2007/05/post_198.html
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