有機EL

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 有機EL

投稿日:2007年10月17日 09:36

 最近、次世代の照明・表示装置として注目されている有機ELを使用した家電製品が市場に出てきました。ELとはエレクトロ・ルミネッセンスの略で、物質が電磁波や熱などのエネルギーを受け取って発光する現象をルミネッセンスといい、特にエネルギーが電界で供給されて光る場合をELと呼びます。有機ELとは、電圧をかけると光を放つ有機化合物で出きた電子材料を指します。

 無機ELもありますが有機ELとでは、発光の原理は全く異なります。無機ELは硫化亜鉛等の無機化合物の薄膜をガラス基板上に蒸着し、発光には加速された電子を利用して、200v程度の電圧が必要になります。これに対して、有機ELの原理は発光ダイオードに似ていて、電流を注入して発光させますので、10v以下の直流電圧で充分になります。

この有機ELは材料そのものが発光しますから、液晶などに比べて大幅に薄型に出来ますので、壁に張り付けたり、折り曲げたりする表示装置の実現が可能になります。プラスチックやゴムなどの有機物は本来、絶縁体ですから電気は非常に流れにくいのが特徴です。有機物に高電圧をかけて光らせる研究は1960年代から行われていたのですが、実用レベルにはほど遠く近年やっと実用化に成功しました。

 画像を構成する微小な点を画素といいますが、有機ELを利用したカラーディスプレイ、CRTや液晶のカラーテレビは、赤(R)、緑(G)、青(B)の三色の光を基本として無数の色を表現します。このRGBを光の三原色といい、有機ELの画面上ではRの点、Gの点、Bの点が隣り合って、ひとつの画素が構成されます。この3点の発光を個別にコントロールすれば、各画素の色を無数に表現することが可能になります。

 液晶ディスプレイでは、液晶そのものが発光しているわけではなく、液晶の背後にあるバックライトが一様に発光し、液晶の各画素はシャッターの役割を果たしています。画素が閉じるとバックライトが見えず、画素が開くとその画素はバックライトの影響で輝いて見えるのです。画像を動かす場合、シャッターを構成する分子を動かす必要がありますので、斜めからでは画像が見えにくくなり、視野角による画像の劣化が起こります。

 これに対して有機ELディスプレイは画素そのものが発光しますので、バックライトが不要になり、薄くて軽くなるだけでなく、高コントラスト、高速応答、高色再現、高画質に加え消費電力も小さくできます。また、曲げる、折りたたむといったフレキシブルなディスプレイを作ることが可能になります。現在、携帯電話の外側のディスプレイやソニーのウォークマンのパネルディスプレイとして使用されていますが、さらに大型化が可能になればTVへの採用も広がっていきそうです。

 今、注目されている素材のひとつです。



https://www.lifestyle.co.jp/2007/10/post_231.html
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