大規模太陽光発電

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 大規模太陽光発電

投稿日:2009年02月18日 09:00

 世界で大規模太陽光発電所を設置する計画が動き出しています。太陽光発
電というと従来は3??級の出力が主流で、住宅の屋根やビルの屋上等に太
陽電池パネルを設置して発電させる風景を思い浮かべますが、高性能製品の
量産技術が整った現在は、大規模な展開が可能になってきました。国際エネ
ルギー機関(IRA)の作業部会が砂漠に大規模発電所を設置し、電力を周
辺各国に供給しようという計画を立て、面積や日照時間、技術課題などを検
討しています。

 作業部会の試算ではユーラシア大陸に広がるゴビ砂漠の半分に太陽電池パ
ネルを敷き詰めると、地球全体の年間エネルギー需要を全て賄え、さらに広
いサハラ砂漠にびっしり設置した場合には、総需要の約10倍を得ることが可
能になります。具体的な実用化に向けての有力候補の一つにアフリカ北部の
サハラ砂漠一帯からスペインにかけて、出力100メガ?以上の大規模太陽光発
電所を複数建設し、欧州などに電力を供給する案があります(100メガ?は一
般家庭約3万3000軒分の電力に相当します)。

 温暖化問題の深刻化、化石燃料価格の高騰などから関心が高まり、現実味
を帯びてきています。太陽電池が光を電力に変える変換効率は約15%と仮定
しての試算ですが、これを上回る性能の電池パネルも製品化されています。
また、作った電気の送電には、従来の銅を使った送電線では発電量の5%程
度が電気抵抗による発熱などで失われてしまいますので、超伝導物質の利用
が検討されています。

 絶対温度0度(摂氏零下273度)で電気抵抗がゼロになる物質は知られて
いましたが、1980年代に摂氏零下196度の安価な液体窒素でもゼロにできる
「高温超伝導物質」が見つかりました。住友電気工業がこの「ビスマス系」
と呼ばれる高温超伝導物質を使って高品質な線材を開発しています。一本で
銅線の150?200倍の電流を流すことが可能で、冷却用のエネルギーを考慮し
ても電力損失は銅の半分で済みます。

 太陽電池パネルの進歩も著しく、従来の多結晶型シリコンは温度が上がる
と変換効率が急低下しますが、三洋電機が開発したアモルファスとシリコン
結晶の技術を生かした独自構造の「HIT太陽電池」は、改良により変換効
率が22.3%と効率よく、高温の砂漠でも良好な性能が期待できます。IRA
以外でも大規模太陽光発電所の建設はすでに世界各地で相次いでいて、日本
でも電力10社が計30カ所、発電総力合計140メガ?の計画があります。シャー
プと関西電力が堺市に合計出力28メガ?の世界最大級の発電所を着工しまし
た。

 脱化石燃料に向けて、まずは大規模太陽光発電所の建設が世界中に広がっ
ていきそうです。国土の狭い日本は火山を利用した地熱発電も将来は有望に
なるでしょう。



https://www.lifestyle.co.jp/2009/02/post_296.html
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