次世代蓄電池

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 次世代蓄電池

投稿日:2010年03月17日 09:00

 リチウムイオン電池の性能を大きく上回る「リチウム?硫黄電池」や空気
中の酸素を反応させて電気を作る「金属?空気電池」、複数個の電子をやり
とりする「多価イオン(カチオン)電池」に期待が集まっています。現時点
で最も有力視されているのが「リチウム?硫黄電池」です。大阪府立大学グ
ループの実験ではリチウムイオン電池の5倍の蓄電能力が確認されています。

 リチウム?硫黄電池は、正極に硫黄化合物、負極にリチウム合金を使用し
ます。電極の間でイオンや電子をやりとりする電解質にはリチウムや硫黄、
リンなどの固体物質を使用します。正極に硫黄を使うと蓄電性能が飛躍的に
向上することは研究で知られていましたが、電解質に硫黄が溶け出して、繰
り返し充放電できる蓄電池(二次電池)は作れませんでした。しかし、主要
部品となる正極材を新たに開発したことで可能になりました。

 新たな正極材は、電解質材料に硫黄と炭素を細かく粉砕して固めた正極を
作成しました。負極には、リチウム・インジウム合金を使ってリチウム?硫
黄電池を試作しました。

 取り出した電気エネルギーは硫黄1?あたり1000?アンペア時以上となり、
リチウムイオン電池の理論限界値を大きく超え、充放電を200回以上繰り返
しても性能劣化はほとんど見られませんでした。

 また、研究途上ですが金属?空気電池は、正極に空気中の酸素を利用する
触媒材料を使い、負極に亜鉛やアルミ、リチウムなどの金属を使用します。
正極の容積を小さくして小型・軽量化が期待できる蓄電池です。

 多価イオン(カチオン)電池は、正極に酸化物材料、負極にマグネシウム、
アルミニウムなどの金属を使用します。1つのイオンで複数個の電子が移動
するので、同じ大きさの電池で複数倍のエネルギー移動が可能になります。

 蓄電池の容量や出力などの性能は、電極や電解質にどんな材料を使用する
かによって理論限界が決まります。高性能を引き出すための材料の組み合わ
せがたとえ分かっていたとしても、充放電を繰り返す仕組みや構造を作り出
すことはなかなか難しく、技術的な壁になっているのが現状です。

 地球温暖化対策の切り札として期待される電気自動車を本格的に普及させ
るには、基幹部品となる蓄電池の容量や出力を大幅に高める必要があります。
1回の充電でガソリン車なみに500km前後の長距離走行を実現するために
は、理論的にリチウムイオン電池での達成は難しく、リチウム?硫黄電池が
次世代蓄電池の有力候補になるといわれています。

 安価な硫黄は電池の低コスト化につながり、電解質に固体材料を使って全
固体型電池にすると安全性が高まります。実用化にはさらなるメカニズムの
解明と最適な作成条件が必要になりますが、期待が持てそうです。



https://www.lifestyle.co.jp/2010/03/post_391.html
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