水ビジネス

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 水ビジネス

投稿日:2010年10月15日 09:00

 経済成長や人口の増加で水不足が続くアジアや新興国では、生活用水や工
業用水の需要拡大に伴い、上下水道整備など水関連のビジネスが拡大してい
ます。大都市の自治体が商社など大手の民間企業と協力して蓄積した経験や
技術を活かして、海外で水ビジネスを展開する動きが活発になってきました。

経済産業省の試算によると、「水ビジネス」の市場規模は2025年に87兆円
と2007年の2倍強に拡大する見通しで、フランスや韓国などが国を挙げて力
を入れています。日本政府もここに来て成長戦略のひとつの柱として位置づ
けました。

 日本は海水の淡水化や漏水防止などの技術では世界トップクラスですが、
海外での展開となると出遅れています。海外で必要となるのは水道施設の建
設、水の供給、水使用量の徴収などを担う総合力です。

 日本では、上下水道の管理や運営は自治体で行っていますが、海外では水
関連事業に民間が関与することが多く、仏のGDFスエズとヴォリアウォー
ター2社は世界シェアの3割を握る「水メジャー」と呼ばれていて、中国や
インドでの大型商談をまとめています。独のシーメンスや米のGEに加え、
アジアの企業も地元で蓄積したノウハウを活かして受注に結びつけようとし
ています。

 北九州市は下水道の国際貢献として、中国やサウジアラビアなど8カ国に
職員を派遣し、96カ国から研修生を受け入れてきた経緯があります。住民か
らの料金徴収や下水道事業のノウハウを民間に提供し、官民が連携しあって
海外の受注に結びつけようとしています。

 市の下水処理場には、工業用水の実験プラント「ウォータープラザ」が今
秋完成し、最先端の水処理技術を活用して、海水と生活排水(下水)から工
業用水を造ります。能力は1日に1400立方メートルで、水質検査を経て地元
企業に供給し、海水の淡水化プラントより省エネ型の施設を目指して、新興
国の評価につながる本格的なプラント受注を目指しています。水ビジネスが
育てば地元企業にも機器のメンテナンスなどで商機が広がるので積極的に
展開しています。

 東京都も水ビジネスに関係する企業と情報交換の研究会を立ち上げて、今
までの運営ノウハウを活かすべく三菱商事が傘下に治めた豪州の水道事業会
社の管理・運営のコンサルティング業務に参画しています。

 ただ、自治体が海外で事業展開した際には損失を受けた場合の対応など海
外進出のリスクを克服する検討も必要になってきます。
 



https://www.lifestyle.co.jp/2010/10/post_445.html
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