バイオミメティクス

ライフスタイル総合研究所



 バイオミメティクス

投稿日:2012年10月02日 09:00

 生物の特徴をまねて製品の機能を高めるもの作りの手法である生物模倣
(バイオミメティクス)技術が注目されています。厳しい環境を生き抜く昆
虫や植物、動物の体の仕組みから新製品開発へのヒントやアイデアが生まれ
ています。

 バイオミメティクスの最たる例として最も有名なものに「マジックテープ
(正式名称は面ファスナー)」があります。これは草むらなどで衣服にくっ
つく「ひっつき虫(ゴボウの実)」をヒントに作られました。新幹線ではパ
ンタグラフの騒音低減に「ふくろう」の翼の構造をヒントに設計されていま
す。気流の逆流をなくすことで、騒音を劇的に低下させています。

 また、時速300kmで走行するのでトンネルに突入する際に、トンネル内の
空気を凄まじい勢いで圧縮してしまうため、トンネル出口からちょうど空気
砲の様に圧縮された空気が押し出され、その際に爆発音の様な騒音が発生し
てしまいます。この現象を軽減すべく取り入れられたのがカワセミのくちば
しの構造です。

 カワセミは水辺に生息し魚や昆虫を主食にしている鳥で、小枝などから水
面に飛び込んで採餌します。このカワセミのくちばしの構造が水面に突入す
るにあたって実に合理的な構造をしていることから、この構造を新幹線のノ
ーズ部分に採用した結果、劇的に衝撃音を軽減する事ができました。

 他にもどんな微風でも宙を舞い、風の力を上手く捕まえるトンボの羽をヒ
ントにした風車のプロペラの研究や玉虫の羽の構造から表面を微細加工し、
塗料を使わずに色鮮やかに輝かせるステンレス素材の作成、カタツムリの殻
が汚れや油汚れに強いことから、水で流しただけでも汚れが落ちてしまう構
造をヒントに汚れが付きにくく落とし易いキッチンや外壁材、蛾の目の構造
を利用した反射防止フィルムなどがあります。

 ナノテクノロジーやコンピュータグラフィックで模擬実験を行い、生物の
形状と機能の関係を徹底的に追求できるようになったことで、自然が何千何
万年とかけて生み出した合理的な機能を人間の文明に取り込むことが可能に
なりました。しかし一方で、現在生き残っている生物も人間による環境破壊
という未だかつてない脅威にさらされています。このまま破壊が進めば自然
界の生物達がいなくなってしまいます。

 我々人間の技術が発達しても、まだまだ自然の中に学ぶ事はいくらでもあ
ります。今一度、自然界の生物や環境を見直し尊敬することで、我々人類と
自然との共存をはかる時が来ているのではないでしょうか。



https://www.lifestyle.co.jp/2012/10/post_603.html
コメントなどを募集中!
コメントしたことがない場合ライフスタイル総合研究所の承認が必要になります。承認されるまではコメントは表示されません。




ライフスタイル総合研究所について会社概要業務内容営業拠点 
Copyright(c) 1997 by (株)ライフスタイル総合研究所