「放射線のリスクから体を守る栄養学的対策」1

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 「放射線のリスクから体を守る栄養学的対策」1

投稿日:2011年07月01日 14:21

 細胞の免疫力を高めることにより健康を守る研究の第一人者、杏林予防医
学研究所所長・山田豊文先生の毎日摂る食事によって傷ついたDNAを修復
するという【放射線のリスクから体を守る栄養学的対策】についてのご提案
です。

 福島県の原発事故により、自然界に存在するレベルを大きく超えた放射線
被曝の恐れや環境汚染が日本中に広がっています。今後、長期にわたると考
えられる、低濃度放射線と放射性物質による被曝によって生じる健康被害に
ついて、体内の自己免疫力や自己治癒力をもって予防的に抑えることが重要
になってきます。

 また同時に、次世代への影響を最小限に防ぐためにも、傷ついたDNAを
修復するために必要な栄養素を正しい食事によって適切に補給する方法を、
該当地域に居住する人々だけでなく国民全員が知っておく必要があります。

 放射性物質の被曝には、体外被曝と体内被曝の2種類があります。体外被
曝のリスクは、大気や土壌の汚染から身を守ることによって軽減されます。
体内被曝のリスクは、正しい食事によって栄養素を十分補給することによっ
て軽減できます。

 体内被曝の栄養学的対策には、大きく分けて3つあります。

■一番目は、放射性物質によって体内に発生する活性酸素を消去して、DN
 Aの損傷を防ぐための抗酸化栄養素の補給です。

■二番目は、活性酸素によってDNAが受けたダメージを修復してくれる栄
 養素の補給です。

■三番目は、放射性物質と性質の似た栄養素を補給して、放射性物質が体内
 にとどまらないようにすることです。放射性物質は、体に必要なミネラル
 と構造が似ているものがい多いため、これらのミネラルを十分に補給して
 いれば、放射性物質が体内に蓄積することを予防できるのです。

 この3つをきちんと理解して正しい食事を摂っていれば、被曝の脅威から
体を守ることが可能です。

1.放射性物質が発生させる活性酸素を消去する抗酸化栄養素を摂る
 体外被曝の場合も体内被曝の場合も、放射線が体内の水分に当たると大量
の活性酸素を発生させます。この活性酸素が体内で急激な酸化を促し、細胞
や細胞内のDNAを連鎖的に損傷していきます。これが放射線による悪影響
の基本となります。

 私たちの体には、体内で発生した活性酸素を消去する能力と、活性酸素に
よって傷ついたDNAを修復する能力との、二重構造の防御システムが備わ
っています。ところが、放射線の被曝などによって、この修復能力を超えた
大量の活性酸素が発生すると、白血病やがんなどの発症リスクが高まってし
まいます。

 活性酸素を消去する能力を高めるためには、ベータカロテン、ビタミンC、
Eなどの抗酸化ビタミン、亜鉛、セレンなどの抗酸化ミネラル、リコピンな
どのファイトケミカルを豊富に含む食材を摂ることが重要です。また、複数
の抗酸化栄養素を同時に摂ることで、この効果は相乗的に高まります。

【抗酸化栄養素を豊富に含む食べ物】
 ニンジン、カボチャ、ホウレンソウ、レモン、イチゴ、ピーマン、豆類、
 タマネギ、トマト、パプリカなど。

2.傷ついたDNAをマグネシウムで修復する
 マグネシウムは、すべての細胞の活性にかかわる重要なミネラルです。D
NAポリメラーゼという酵素の必須成分であり、被曝によって傷ついたDN
Aを修復してくれます。

【マグネシウムを豊富に含む食べ物】
 玄米、大豆、小豆、などの豆類、豆乳、ヒジキ、ワカメ、コンブなど。

3.大豆や味噌で体内に入り込んだ放射性物質を解毒する
 味噌を摂取すると、放射線被曝によってはがれた腸の粘膜細胞を修復する
という報告があります。また、大豆のイソフラボンには放射性ヨウ素を排出
する効果が期待できます。なかでも、大豆イソフラボンのゲニステインには、
活性酸素によって体内の脂質が酸化して過酸化脂質になることを防ぐ作用が
期待できます。

 豆乳、納豆や味噌汁を毎日摂るとよいでしょう。

4.タウリンは白血球の機能を回復し正常化する。
 タコなどの魚介類に多く含まれるタウリンというアミノ酸には、免疫機能
を高め、白血球の機能や数を回復する働きが期待できます。

 また、タウリンの構成成分である硫黄を含むアミノ酸(含流アミノ酸)は、
タマネギやニンニクなどにも含まれており、有害物質の解毒に役立つ物質で
す。

【タウリンを多く含む食べ物】
 タコ、イカ、エビ、牡蠣、アサリなど。

5.放射性物質を絡めて排出する食物繊維が豊富な食材を摂る
 食物繊維の一種である「ペクチン」には、放射性物質を絡みつけて排出す
る働きがあります。また、食物繊維には腸内の有害な物質を解毒する働きが
期待できます。

【ペクチンを豊富に含む食べ物】
 リンゴ、キャベツ、大根、柑橘類(ミカン、オレンジ、ハッサク、伊予柑、
 甘夏、デコポンなど)、柿など。

 放射線の被曝には個人差があります。強く影響を受ける人とそれほど強く
は受けない人がいて、簡単には評価が下せません。しかし、はっきりといえ
るのは、妊婦や胎児、新生児、乳幼児は脆弱であり、危険性が高いことです。
      
                         >>>来月号に続く



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