石油の無機起源説

ライフスタイル総合研究所



 石油の無機起源説

投稿日:2006年03月18日 11:03

 中国の経済成長や昨年のアメリカでのハリケーン被害、中東の政情不安もあって原油価格が高騰している影響でガソリンや灯油が高値を継続しています。希望のもてそうな話題として天然ガスや石油のもとになるメタンガスが、地球の奥深くで合成され、無尽蔵にあるかもしれないという仮説、「石油無機起源説」が専門家の間で取り上げられています。

 石油は今まで、大昔の生物の死骸が地下に埋もれて、適度な圧力と温度の力で長い時間をかけて徐々に分解されて油になったと説明されてきました。生物の死骸、いわゆる有機物が出発点となった有機起源説です。

 この説に対して、無機起源説は地殻の底、深さ数十?で岩石と水が反応してメタンガスができ、このメタンが反応を重ねて石油や天然ガスに変化しながら、地盤の割れ目を伝って上昇し、地層に蓄えられるという説です。有機説を全面否定する訳ではなく、生物の死骸からできる油とは別に岩石からできる油もあるとする説です。

 現在の世界の確認可採石油埋蔵量は約1兆3千億バレルで、年間消費量の約3百億バレルで割ると約40年分と予測されてきました。これによる、石油の生産は2010年までにピークを迎えるとの予測「ピークオイル論」があり、有機説に基づいています。しかし、たびたび枯渇期限が先に延びることで不確かなものになってきています。

 無機説が今、注目される理由のひとつに探鉱実績があります。従来の考えでは存在を説明しにくい地層や、堆積層の下の深い岩盤で石油・天然ガスの貯留層が見つかっています。

 2001年に公表されたウクライナの油田やベトナム沖の油ガス田も通常より深い基盤岩で発見されています。また、米国のローレンスリバモア研究所では、地層深部の岩石(方解石)と酸化鉄と水を閉じこめたダイアモンド製の容器を地底と同じ条件の摂氏千度以上圧力5万?10万気圧で実験したところ、メタンガスの発生が確認されたとの発表をしています。土星の衛星タイタンの画像でも、地球の河川によく似た地形が写っていたことから、大量に存在する液体のエタンやメタンが地表を浸食した跡と考えられていて、生物のいない場所でもメタンが大量にできるとの推測を後押ししています。

 しかし、大深度から出るメタンガスについては、近年、太陽も酸素もない岩盤の割れ目に様々な微生物が生息していることが確認され、地下の微生物が発生源とする見方もあり、無機起源説の確証までにはいたっていないようです。石油やメタンなどのエネルギーが無尽蔵にあるかもしれないという期待は、現在のエネルギー事情からすると大変うれしいことですが、地球環境を考えた場合には、一日も早く自然エネルギーや環境に優しいエネルギーへの移行が望ましいでしょう。



https://www.lifestyle.co.jp/2006/03/post_78.html
コメントなどを募集中!
コメントしたことがない場合ライフスタイル総合研究所の承認が必要になります。承認されるまではコメントは表示されません。




ライフスタイル総合研究所について会社概要業務内容営業拠点 
Copyright(c) 1997 by (株)ライフスタイル総合研究所