ビル緑化義務付けへ

ライフスタイル総合研究所



 ビル緑化義務付けへ

投稿日:2003年09月23日 10:24

 今年の夏は世界的に異常気象の年でした。国内では日照不足と冷夏の影響で農作物にも大きな被害がでそうで、野菜などが高騰しています。海外ではヨーロッパを熱波が襲い、フランスでは三千人を超える死者が出ているもようです。地中海地方では異常乾燥で山火事が続発しました。また、アルプスでも氷河が記録的な勢いで融けだしています。中国でも北部は洪水、南部は水不足と被害が出ています。ジェット気流の蛇行が原因で起きた現象のようですが、これも地球温暖化の影響の一部なのでしょう。

 温暖化防止のひとつとして、国土交通省では都市環境の改善やヒートアイランド現象の緩和に向けて、都市緑化を総合的に進める新法の制定に向けた動きを始めました。

 ヒートアイランド現象とは、地表がアスファルトやコンクリートに覆われた都市部で発生する高温化現象のことを指します。緑地や水面が減少した結果、水分の蒸発が減って地表面の温度が上昇します。

 この結果、消費電力が増えるだけでなく、異常気象への影響も指摘されています。都市部の公園整備や緑地の増加は対策の大きな柱といえます。国に先駆けて東京都では条例で、大規模建築物を新改築する際に屋上緑化を義務付けていますが、新法では屋上に限らず敷地全体に対して、一定の割合の緑化を義務付けるようになりそうです。


 都市部の一人当たりの公園面積を比較してみると、ストックホルムとキャンベラが78?80?、ニューヨーク、ベルリン、ロンドンが27?30?、比較的少ないパリでも約12?あります。日本では札幌市が10.4?で主要都市の中で一番多く、福岡市8.5?、名古屋市6.7?、横浜市4.4?、大阪市3.5?、東京23区においては3.1?しかありません。政令都市平均で6.0?、全国平均でも8.4?です。

 国土交通省では都市部の緑化を進めるために、大規模ビル建設時に緑化区域の設置を義務づける方針です。敷地の20%程度を最低限と定めるかわり、ビルの容積率の割り増しや固定資産税の軽減も検討しています。都市緑地保全法と都市公園法を統合して「都市公園緑地法案」として2005年度の施行を目指しています。現行法では、緑地の保全や敷地内の空地の確保を義務づける規定はありますが、都市の緑地を増やすための規制はありません。緑化は地上でも屋上でも良く、都市部に限らず、全国一律に緑化義務を課す可能性もあります。

 公園と民間施設を一体で整備できる「立体公園制度」も導入する見込みで、商業施設の屋上などを公立の公園にすることも可能となり、公園施設と民間施設の相乗りを認めることで、市街地の再開発をしやすくする仕組みをつくりだす狙いがあります。



https://www.lifestyle.co.jp/2003/09/post_118.html
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