水不足問題

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 水不足問題

投稿日:2008年06月12日 09:34

 原油価格の高騰が続いていますが、それに伴って小麦や大豆、トウモロコシをはじめとして食料品の値段も上がってきています。エネルギーと食料品の安定供給が心配ですが、世界的には水不足が問題になってきています。

 地球上の水の総量は約14億立方??といわれていますが、ほとんどは海水で淡水はわずか2.5%にすぎません。しかも淡水の約2/3は氷河や凍土で氷として閉じこめられていますからほんのわずかな量しか利用出来ません。

 すでに人口増加などで人間一人が利用可能な水は減る一方で、60億の人口の内5億人は慢性的に水が不足している国に住んでいます。このままいくと2050年には、人口は89億人に達する見込みですが、そのうち49億人が水不足になると予想されています。

 原油高からバイオ燃料に注目が集まり、トウモロコシなどの穀物も値上がりをしています。大型車のガソリンタンクをバイオ燃料で満タンにしようとすれば、人間が一年に食べる穀物の量に相当します。

 全ての穀物をバイオ燃料に代えても米国の自動車の燃料需要の16%しかカバー出来ません。人が生きていくのに必要な食用穀物をバイオ燃料に利用するべきではないとの意見も聞かれます。

一方、日本人が一年間に使う生活用水は約137??で、これは英国や中国の4倍、カンボジアの27倍に相当します。実は穀物の輸入大国である我が国は間接的に水を大量に輸入しているのです。1?の小麦を作るには約2??、白米1?では3.6??の水が必要になります。牛肉にいたっては1?当たり20??の水を消費していることになります。牛を育てる飼料の栽培に水を消費し、牛も成長過程で大量の水を飲むからです。

 食料の60%を輸入に頼る日本は年間640億トンのこうした仮想水を輸入している計算になります。国内で利用される農業用水は570億トンで国内と同程度の水を海外に依存していることになります。中国の旱魃、インドは多くの州で地下水位が下がっています。米国においても南部の大平原の地下水位の低下が目立ってきています。

 地球全体でみると、自動車に乗る8億人と、極めて貧しい生活をする20億人が同じ穀物を巡って争っている状況です。未来の戦争は石油よりも穀物を通じて水の争奪戦になる可能性が非常に高く、軍事力よりも資金力との見方もあります。

 紛争も一部で起こっていて、極度の貧困と飢餓の問題の内30%は水問題によって引き起こされているといえます。世界各地で頻発する渇水や洪水は日本人の食を脅かす事態にもなりかねません。将来は原油のように水も商取引されるのではないかとの見通しがあります。

 水は食糧、エネルギー経済と線引き出来ない資源としての時代になってきました。



https://www.lifestyle.co.jp/2008/06/post_262.html
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