都市鉱山

ライフスタイル総合研究所



 都市鉱山

投稿日:2008年10月17日 09:00

 テレビやエアコン、パソコンなどは家電リサイクル法や資源有効利用促進
法に基づき、廃棄品から金属や樹脂を回収してリサイクルされています。ハ
イテク産業に不可欠な希少金属の再利用については、現行の法制度がゴミの
削減と有害物質の対策に重点をおいて作成されたために、これまでは注目さ
れていませんでした。

しかし、資源高を背景に、国内で使用、廃棄されるテレビや携帯電話など
電子機器に使われる希少金属に関心が集まっています。金や銅だけでなく様
々なレアメタルが使用されていますので、取り出せば再利用できるため「都
市鉱山」とも呼ばれています。

 国の研究機関の物質・材料研究機構は、日本にある金の量は南アフリカの
埋蔵量を上回り世界一との試算を公表しました。日本の都市にある金の量は
約6800?で世界の埋蔵量の16.4%にも達します。銀は22.4%、液晶の電極に
使うインジウムにおいては61%が国内にあります。

 他の金属ではアンチモンが19.1%、スズとタンタルが11%、鉛が9.9%、
銅が8%に亜鉛が6%、プラチナは4%といった具合です。見方によっては、
日本は世界有数の資源国といえるようです。

 希少金属の含有率が一番高いのは、携帯電話です。1台に含まれる金の量
は約6.8??あります。1??の金を回収するのには約15万台(17?強)が
必要になります。鉱山で掘り出した鉱石から、金1?を取り出すのに約1000
?の鉱石が必要とされていますので、携帯電話は品位の高い鉱石に例えられ
ます。しかし、現行では法的な回収義務がありませんので、電話会社や量販
店の自主的な取り組みに頼っています。

 都市鉱山から効率よく資源を回収するには、携帯電話を始め家庭に広く分
散した家電製品をいかに効率よく集めるかがカギになります。秋田県大館市
では、市民がリサイクル法の対象外である不要な小型の電気製品をスーパー
の店頭などに置いてある回収ボックスに持って行きます。

 ボックスに入る大きさなら何でもOKということで、同市と近隣市町村27
カ所で集めた製品は1年間で4000個以上にもなり、人口8万人の市としては
順調な滑り出しです。

 しかし、鉱石の製錬とは違う技術が必要になりますから、不要になった製
品から金属の全てを回収することは、技術的、経済的に問題があります。金
や銅は比較的容易に回収できますが、高性能磁石のネオジウムや携帯電話の
バイブレーターに使うタングステンなどは難しいようです。

 また、国内の廃家電の一部は海外へ流れ、中国などで金や鉛などが抽出さ
れています。取り出し易く、換金し易い金属は市場に戻りますが、そうでな
い金属は捨てられてしまいます。国内資源が流出との見方もありますので、
廃家電を資源化するシステム創りが重要になってきます。



https://www.lifestyle.co.jp/2008/10/post_273.html
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