|  防犯に効果的な色投稿日:2009年05月18日 09:00 
  色彩は人間の心理に影響を与える力を持っています。例えば、赤色はエネルギーやバイタリティーを意味する色で、人間の神経を刺激し興奮させる効
 果があります。これとは逆に青色は気持ちを静める効果があります。2000年
 イギリス北部のグラスゴーで、景観改善のためにオレンジ色だった街灯を青
 色に変えたところ、犯罪発生率が激減したとの報道がありました。これを受
 けて日本の自治体も街灯を青色に変える動きが始まりました。
  2005年に奈良県が県警の働きかけで導入したところ、犯罪件数が約15%減少しました。青色には心拍数や血圧を安定させ、気持ちを落ち着かせる効果
 があること、光もより遠くまで届くので目立ちやすいことなどが効果につな
 がりました。街灯の色を変えたことは地域の人々の防犯意識を高め、犯罪を
 犯す側も目立つ場所での犯行は避けたいとの心理が働いたため、防犯につな
 がったのではないかと推察されています。青色の防犯灯は2007年の3月末の
 時点で37都府県に広がっています。
  また、青色灯の効果に鉄道各社も注目しています。JR西日本が大阪府と和歌山県を結ぶ阪和線などの踏切38か所に青色照明を設置した結果、夜間の
 車の踏切事故がゼロになったり、京浜急行電鉄が横浜市の弘明寺駅のホーム
 に導入すると、飛び込み自殺などを大幅に抑制する効果がありました。青色
 の持つ鎮静効果と人目を避けたいという心理的効果が働いたようです。
  高速道路では、安全運転を促す目的で東名高速の東京インター付近上下線1.8キロにわたって青色照明152基を設置しています。名神高速の養老サービ
 スエリアもゴミ箱近くの照明を青色照明に変えたところ、家庭からの持込ゴ
 ミが2割以上減少しました。
  ただ、明るさに課題がないわけではありません。警察庁の基準では、街灯の照度は4メートル先の人が識別できる3ルクス以上が好ましいとされていますが、
 青色は白色よりも暗く感じることが多く、顔や服装が判別しにくいとか、防
 犯カメラの映りが悪くなるなどの意見もあります。改善点はまだまだありそ
 うですが、色彩の心理的効果は上手に活用したほうがよさそうです。
 
  https://www.lifestyle.co.jp/2009/05/post_317.html
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