植物工場

ライフスタイル総合研究所



 植物工場

投稿日:2009年10月19日 09:00

 実りの秋の季節がやってきました。秋の言葉の「あき」には「飽きるほど
食べ物がある時期」という説もあるほどで、まさに味覚の秋と言えます。ま
た、10月は神無月とも呼ばれ、神を祭る月でもあります。神無月の「無」は
「水無月」と同じく「の」を意味する助言詞「な」のことで、「神の月」と
する説が有力です。又、10月に全国の神々が出雲大社に集まるため、諸国に
神がいなくなることから神無月になったとの説もあります。

 今の日本は農家の後継者不足や低い自給率、輸入食品を含めた安全性への
懸念、農政に対する不満など課題が山積みになっています。このような状況
下で、新しい農業の形が注目を集めています。農作物を工業生産品のように
工場で生産する植物工場です。

 植物工場は、温室等で太陽光の利用を基本としながら、人工光による補光
や夏季の高温抑制技術等を用いて栽培する「太陽光利用型」と閉鎖された環
境で太陽光を用いずに栽培する「完全人工光型」の2つがあります。これま
での栽培とは違い、植物をコンピュータで管理されたクリーンルームで栽培
します。完全人工光型は、栄養分を多く含んだ水と発光ダイオードなどの人
工の光で水耕栽培します。これによって完全無農薬での栽培が可能になり、
ビタミンなどの含有量が多い高栄養化の野菜を作ることができます。
また、24時間昼夜を問わず栽培が可能になりますから、収穫までの時間も
大幅に短縮できます。例えば、レタスの収穫は通常6ヶ月に1回ですが、約
1ヶ月で収穫できるようになります。
 現在は主にレタスやミズナといった葉物野菜の生産が盛んですが、根菜類
の生産も研究が始まっています。高度な環境制御を行うことにより、天候や
災害に関係なく安定した野菜等の供給・計画生産が可能になります。相場に
よる価格変動も少なくなり、消費者や飲食店に対しては季節に関係なく、価
格や在庫が安定するといったメリットがあります。

 しかし、全く問題がないわけではありません。一つは、人工光は光が弱く
生育できる野菜が限られることです。人工光で生育可能なのはレタスくらい
で、イネやトマトには照度が足りなく、光源をできるだけ野菜に近づけて光
を強く当てようとすると、発光ダイオードでも基盤の発する熱で野菜が焼け
てしまいます。また、建設費用や光源を光らせる電気代、冷房など、空調や
クリーンルームの環境維持にエネルギーコストが大きくなってしまいます。

 人工的に作られた野菜ということで一般の消費者に受け入れられるかどう
か、一年中収穫できることで「旬」を味わうことや自然を味わうといった日
本文化が薄れてしまうかもしれませんが、低価格で安全・美味しければ食料
自給率のアップが期待できそうです。



https://www.lifestyle.co.jp/2009/10/post_353.html
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