テクノロジー「32面体」

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 テクノロジー「32面体」

投稿日:2010年07月12日 09:00

 1種類の正多角形がつながってできた立体が正多面体で、2種類以上の正
多角形が組み合わさってできたものを準正多面体といいます。正5角形と正
6角形が連なった32面体は白黒の亀甲模様のサッカーボールが代表的で、球
に近い形状が様々な性質を備えており、建築物やナノテク素材、核兵器など
に応用されています。

 32面体は多面体の中で最も球形に近く、究極の対称性を持つといわれてい
ます。表面から外側に向かう「波」も均一に広がっていくため、光の分野で
応用されたのが高性能プラネタリウムです。それぞれの面に作った星の像を
スライドのように映し出し、大きなドームでも星々を小さな明るい点として
映し出すことができます。

 スピーカーに応用すれば遠くまで均一な音が届きます。普通のスピーカー
はたくさん並べても音が伝わらない死角ができますが、32面体型なら一台で
も死角が無くなります。外から伝わる力に対して構造的に強く、この性質を
生かした住宅も登場しています。

 ユニークな応用例としては、磁気遮蔽室です。地磁気などの外部の磁気を
ほぼ遮断するので、遮蔽室内では方位磁石が役にたたなくなります。脳や心
臓などが活動する際に生じる微弱な磁気を測定するのに利用します。光や音
の均一な伝播・外力の分散など、こうした性質を発揮するには球形が最良な
のですが、制作が難しいため32面体を採用しています。

 ナノテクノロジーの分野でも60個の炭素原子でできた球状分子のC60は穏
やかな化学反応で1000度の熱にも耐え、薬品でも分解しにくい性質になりま
す。時計などの精密部品などにこの材料を利用すると摩耗が減り、寿命が延
びるので、微小機械のベアリングに使えるのではと期待されています。

 アルキメデスの発見から2200年以上たちますが、その特殊な構造が発揮す
る特性に世界が注目しています。



https://www.lifestyle.co.jp/2010/07/32.html
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