炭素繊維

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 炭素繊維

投稿日:2015年04月23日 09:00

「炭素繊維」

炭素繊維は鉄の10倍以上の強度を持ちますが、それでいて重さが1/4しか
ないため「魔法の糸」とも呼ばれています。ゴルフクラブなどのスポーツ用
品から利用が始まり、現在は燃費改善の切り札として航空機や自動車へと広
がっています。

炭素繊維はポリアクリロニトリルからつくるPAN系と石炭や石油からつ
くるピッチ系の2種類があります。PAN系は強度に優れていて車や航空機
に使われ、東レ、帝人、三菱レイヨンの日本企業3社で世界市場の過半数を
占めています。ピッチ系は変形しにくく熱にも強いので、人工衛星や産業機
械の部品に使われていて、三菱樹脂が約70%の世界シェアを握っています。

市場規模はPAN系の方が圧倒的に大きく、炭素繊維といえば通常こちらを
指します。PAN繊維を200℃-300℃でじっくり焼いて耐熱性を備えた後に、
酸素のない状況下で1000℃-3000℃で加熱処理すると炭素繊維ができます。

原料は衣料品や毛布に使うアクリル繊維と同じなのですが、なぜ鉄の10倍
の強度になるかというと、6つの炭素原子で出来た六角形が網目のように連
続し、強固に結合した構造になるため、固いことで知られるダイヤモンドに
近い性質を持ち、引っ張っても切れにくく、錆びることもありません。

燃料コストの抑制と環境規制への対応を進めている自動車、航空機メーカ
ーでは、軽量化と安全性を両立できる炭素繊維の存在感が増しています。昨
年トヨタが世界初として発売した、燃料電池車ミライの燃料電池を支えてい
るのも炭素繊維です。発電装置の燃料電池スタックを保護する役割を果たす、
大型部材スタックフレームや燃料電池の発電効率を高める電極機材、高圧水
素タンクの強度維持に使われています。

ミライにこれらの炭素繊維材料を供給する東レは航空機の主翼や胴体の部
材も担っています。米ボーイング社の最新鋭機「787」では機体重量の約
50%を炭素繊維が占め、欧州エアバス社には帝人が供給しています。世界市
場過半数のシェアを持つ日本ですが、撤退した企業も多い中、長年の開発投
資と研究努力が現在のシェアにつながっています。

炭素繊維は単独ではなく、直径5-10ナノメートルの糸を数千から数万束ねて一本
の繊維にし、それを樹脂で固めて板状などにして、炭素繊維強化プラスチッ
ク(CFRP)として利用します。炭素繊維の使用量拡大に伴って、樹脂との分
離が難しいことが、リサイクルの壁になっていて、再利用の課題になってい
ます。炭素繊維を低コストで再生する技術が確立できれば、より環境に優し
い素材としてさらに付加価値が高まりそうです。

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https://www.lifestyle.co.jp/2015/04/post_775.html
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